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自己破産とは
最近ではコマーシャルなどが多く流れることでイメージもよくなり、借りやすくなったことで、クレジットカードや消費者金融などを利用して返済困難に陥り、月々の支払いに頭を悩ませている多重債務者の数は数百万人に及ぶとも言われています。
その多重債務に陥った人たちのほとんどが、債権者からの取り立てを恐れて借金を返済するために、また借金を繰り返すような自転車操業を続けてしまっています。
しかし、そのような状況を続けていても、何の解決にもなりません。
返済をするために借り入れをしても、その場をしのいだだけで、実際の借金は増えてしまうわけですし、毎月の支払いに頭を悩ませていてもご自身のストレスになるだけで、何の解決にもなりません。
そういった状況から脱出するためにも、自己破産などの法的な債務整理を行い、今の状況を乗り越えていかなければならないのではないでしょうか。
自己破産には世間で思われているほどの不利益があるわけではありません。
なぜなら自己破産は借金超過で苦しんでいる人を救済し、再び立ち直るチャンスを与えるために国が作った制度だからです。また、平成17年1月1日の改正で自己破産制度は今まで以上に利用しやすくなりました。
ここでは自己破産の正しい知識について、なじみにくい法律用語を避けてわかりやすく解説していくことにいたします。

自己破産とは

自己破産は、原則として破産の決定を受けた時点での自分の財産(生活するのに必要なものを除く)を失う代わりに、すべての債務が免除され、破産宣告以後の収入や新たに得た財産を債務の弁済に当てることなく、自由に使うことによって経済的な更生を図っていこうという制度になります。
一般の人たちにとっては、自己破産と聞いただけで人間性まで否定されてしまい、その後は満足な社会生活ができないのではないかなどと考えている人もいるかもしれませんが、実際にはまったくそんなことはありません。
自己破産は借金超過で苦しんでいる人を救済し、再び立ち直るチャンスを与えるために国が作った制度です。また、平成17年1月1日施行の新破産法により自己破産制度は今まで以上に利用しやすくなりました。
自己破産の簡単な手続きの流れとは、借金をどうしても返せない人(支払い不能の状態の人)が自己破産の申し立てをして破産宣告を受けたあと、免責の申し立てをして免責を受ける(借金をゼロにする)までをいいます。
後のページで、詳細な自己破産の手続きの流れを図にしてありますので、そちらも参照していただきたいと思います。
さて、多重債務に陥り自己破産を考えている方にとって一番知りたいことは、自己破産をすることにより今後生きていく上で、どのような不利益があるかということではないでしょうか?
細かいことは後述しますが、自分から言わなければ原則として会社や身内に知られることはありませんし、免責さえ受けてしまえば、生きていく上での不利益は7年ぐらいの間ローンやクレジットの利用ができなくなることぐらいです。

自己破産の要件(支払い不能の状況について)

自己破産を申し立てるには、自己破産をするための要件を満たしていなければなりません。自己破産をするための要件とは、借金をどうしても返せない状態(支払い不能の状態)であると裁判所が判断した場合になります。
支払不能の状態とは、申立人の借金の額や収入を考慮して、裁判所がもう返済していくことが無理だと判断した状態ということになります。
申立人の借金の額が100万円で収入が手取りで30万円の場合だと普通に返済していくことができますので、支払不能の状態ではないと判断され自己破産はできないことになります。
逆に申立人の借金の額が500万円で収入が手取りで10万円の場合だと、どう考えても返済していくことができませんので、支払不能の状態だと判断され自己破産できることになります。
平均的な収入の会社員の場合だと支払不能の状態かどうかの分岐点は借金の総額が20万円を超えるぐらいになると思われます。(もちろん、扶養家族が多い場合や生活保護を受けている場合などは、そういった事情を考慮して判断されることになります。)
なお、自己破産の制度は普通に働いているのに返済できない状況を前提にしているので、無職であっても、そんなに大幅に自己破産できるかどうかの分岐点が変わるものではありません。普通に働いている(働ける)状態で、なおかつ特別な事情がないケースで自己破産を申し立てた場合、債務の総額が200万円に満たないと申立人が支払い不能の状態にない(まだ支払い能力がある)と判断されて自己破産の申し立ては受理されない可能性があります。
自己破産が受理されない場合の債務整理は他の方法を検討することになります。

自己破産を申し立てる場合の問題点

自己破産は一部の債務を除いての手続きはできませんので、住宅ローンや保証人が付いている債務を除いて自己破産の申し立てはできません。
住宅ローンがある場合に自己破産の申し立てをすればマイホームは処分されてしまいますので、住宅ローンを支払い続けながら(マイホームを守りながら)借金を整理したい場合には民事再生を選択することになります。
また、保証人が付いている債務がある場合に債務者が自己破産した場合は保証人に対し請求がいくことになります。
なお、所有している財産(不動産、自動車、有価証券、生命保険など)は原則としてすべて処分の対象になってしまいますので、どうしても手放したくない財産がある場合や、自己破産をしてしまうと業務停止になってしまう資格で仕事をされている場合には、他の債務整理の方法(特定調停、任意整理など)を選択しなければなりません。
また、ギャンブルや浪費によって借金を作ってしまった場合には免責が受けられない可能性がありますので、専門家に相談して他の債務整理の方法(特定調停、任意整理、民事再生)も考慮に入れて考えていくことになります。

債権者からの取り立てについて

借金を返済することが困難になってきた段階で、債務者にとって1番辛いことは債権者からの取り立て行為ではないでしょうか。
しかし、自己破産を申し立てるまでの間は、債務者本人に対しての電話による取り立てと、債務者本人の自宅への訪問による取り立ては違法ではありません。
逆に言えば、自己破産を申し立ててしまえば、本人に対する取り立てを含め、すべての取り立ては禁止されていますので、債権者からの取り立て行為はまったくなくなることになります。
なお、司法書士または弁護士に依頼した場合には、各債権者は依頼人に対して直接取り立てをすることができなくなります。
依頼を受けた司法書士または弁護士は事件を受任した旨の通知を各債権者に送ることになり、各債権者がその通知を受け取った時点から依頼人はわずらわしい債権者からの取り立てを受けることもありません。

同時廃止事件と破産管財人事件

ここでは、申し立て時にめぼしい財産がないケース(同時廃止事件)とめぼしい財産があるケース(破産管財人事件)について解説していきます。
自己破産手続きの原則的な流れは、破産の決定のあとに破産管財人を選任し、破産者の財産(不動産や自動車など)を換金して債権者に分配する手続きをします。(破産管財人事件)しかし、破産者にめぼしい財産がなく債権者に分配できないことが申し立ての時点でわかっている場合には、手続きを省略して破産の決定と同時に破産手続き(財産を換金して債権者に分配する手続き)を終了する宣言をします。(要するに破産手続きを省略することを難しい法律用語で同時廃止と呼びます。)(同時廃止事件
ただし、同時廃止がなされても、それだけでは借金がなくなったことにはなりませんので、さらに免責の申し立てをして免責の決定を受けなければなりません。
※ここでは、めぼしい財産がある場合(破産管財人事件)にも簡単に触れておくことにしましょう。自己破産の申立人にある程度の財産がある場合には、同時廃止にはならず破産の決定と同時に破産管財人が裁判所より選任されます。破産管財人は裁判所の監督のもと、破産者の財産を管理し、売却、現金化して、すべての債権者に対して、債権の額に比例した割合で財産を分配する仕事をします。この仕事が終わると裁判所が破産終結の決定をして破産手続きは終了して免責の手続きへと移行していくことになります。
なお、同時廃止事件であれば、手続きの期間も短く費用もあまりかかりませんが、破産管財人事件の場合になると、裁判所に納付する予納金が50万円程度かかり、専門家に対する報酬などの手続き費用も高額になります。

破産宣告から免責まで

自己破産の手続きでは、申立人はまず申立書を申立人の住所地を管轄する地方裁判所に提出することになります。申立人からの申し立てがあると裁判所は、破産の決定をするべき原因があるかどうかなどを審理することになり、審理の結果、申立人に支払不能の状態などの破産の条件が備わっていれば、破産の決定がなされることになります。 しかし、破産の決定がなされても、それだけでは借金がなくなったことにはなりません。さらに免責の決定を受ける必要があります。免責とは破産の手続き上において返済することができない申立人の債務について、裁判所によってその責任を免除することをいいます。(要するに借金を帳消しにすることです。) 免責についても破産の決定の時と同じように裁判所で免責不許可事由がないかなどの審理がおこなわれ、審理の結果、免責の決定がなされれば、破産者は借金から解放されることになり借金は帳消しとなります、また、ローンやクレジットが利用できなくなることを除き破産者の受ける不利益からも解放されることになります。 なお、免責不許可事由に該当し、免責不許可の決定がなされてしまうと借金および破産者の受ける不利益は残ることになってしまいます。
※免責不許可事由とは 破産法の免責制度は止むを得ない事情で多重債務を負い、苦しんでいる人を救うための制度です。ですから、財産を隠して破産の手続きをしたり、裁判所に対して虚偽の書類を提出するなどの破産制度を悪用しようとする人や、ギャンブルやショッピングなどの浪費で借金を作った人に対しては、破産の申立て手続きを取り消したり、免責が許されなくなります。 破産法では、免責を受けることができない事由を今挙げた例以外にもいくつか用意しており、それを免責不許可事由といいます。なお、細かい内容はあとのページで説明することにいたします。

破産者の不利益について

破産宣告を受けた場合にどのような不利益があるのでしょうか?
以下が破産者の受ける不利益のリストになります。

  1. 市町村役場の破産者名簿に記載されます。(公的な身分証明を発行するための資料なので一般の人は見ることができませんし、免責の決定がされれば抹消されます。)
  2. 官報に掲載される。(一般の新聞とは違って普通の書店には置いてありませんし、普通の人には縁のないものだと思われます。)
  3. 公法上の資格制限(破産者になると弁護士、公認会計士、司法書士、税理士などの資格所有者は資格停止になり業務をすることができません。)
  4. 私法上の資格制限(破産者は後見人、保証人、遺言執行者などになることができません。また、合名会社、合資会社の社員および株式会社、有限会社の取締役、監査役については退任事由になります。)
  5. ローンやクレジットを利用することができなくなります。
    なお、破産管財人事件については以下の制約も追加されます。
  6. 自分の財産を勝手に管理、処分できなくなります。
  7. 破産管財人や債権者集会の請求により必要な説明をしなければならなくなります。
  8. 裁判所の許可なしに住所の移転や長期の旅行をすることができなくなります。
  9. 裁判所が必要と認める場合には身柄を拘束される場合があります。
  10. 郵便物は破産管財人に配達され、破産管財人は受け取った郵便物を開封できます。

その他、一般に誤解されている点をリストにしてみました。

  1. 戸籍謄本・住民票には記載されません。
  2. 会社は破産を理由に解雇することはできません。(原則として、自分から言わないかぎり会社に知られることはありません。)
  3. 選挙権や被選挙権などの公民権は停止されません。
  4. 保証人になっていなければ、家族には支払い義務はありません。
  5. 最低限生活に必要な家財道具(パソコン、テレビなどを含む)衣服などは差し押さえされません。なお、平成17年1月1日の改正で処分規定が変更されトータルで99万円以下の財産については処分の対象外になりましたので、財産の総額が99万円以下であれば処分の対象にはならなくなりました。

免責(復権)について

免責不許可事由がなければ免責は決定されます。免責の決定がなされると、税金、損害賠償債務、養育費などの一部の債務の支払い義務を除いて借金の支払い義務が免除されるとともに申し立て以前の状態に戻り、ローンやクレジットなどを利用することができない点を除き、法律的な制限から開放されることになります。これを復権と呼びます。
免責(復権)の効果が以下のリストになります。

  1. 借金が帳消しになります。
  2. 市町村役場の破産者名簿から抹消されます。
  3. 破産宣告後に得た財産は自由財産といって、貯金もできるし保険にも入ることができます。
  4. 公法上の資格制限から開放されます。弁護士、公認会計士、司法書士、税理士などの資格所有者は業務を再開できます。
  5. 私法上の資格制限から開放されます。後見人、保証人、遺言執行者などになることができます。合名会社、合資会社の社員および株式会社、有限会社の取締役、監査役になることができます。
  6. 7年ぐらいはローンやクレジットなどが利用できない可能性があります。

ここまでくればローンやクレジットが利用できなくなることを除き申し立て以前の状態に戻ることになります。

その他の債務整理について

詳細については後のページに譲るとして、ここでは自己破産以外の任意整理、特定調停、民事再生といった自己破産以外の債務整理の手続きについてわかりやすく説明させていただきます。
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任意整理による債務整理
任意整理は、各債権者に対し返済を続けていくことを前提とした借金解決の方法になります。 要するに、今よりも月々の返済額が減った場合に、借金の返済を続けていくことが可能な場合に検討すべき方法ということになります。 任意整理の実際の手続きでは、司法書士または弁護士が各債権者との交渉を行い、借金の元金について利息をカットした形で3年程度の期間で返済をするような、新たな和解契約を結んでいき、その契約に基づいて返済を行っていく方法になります。 任意整理の手続きについては消費者金融などの利息が高い債権者に対し長く返済を続けている場合には、月々の返済額を大幅に減らすことができますし、5年以上取り引きを続けている場合には元金がなくなっていたり、過払い金が発生している可能性もあります。
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特定調停による債務整理
特定調停については、司法書士または弁護士の代わりに裁判所が間に入って調停手続きを進めていくこと以外は内容的に任意整理とほぼ同じになります。 わかりやすくいうと裁判所における任意整理と考えればいいでしょう。 特定調停についても、今よりも月々の返済額が減った場合に、借金の返済を続けていくことが可能な場合に検討すべき方法ということになります。 特定調停の実際の手続きでは、裁判所が間に入って各債権者との調停を行い、借金の元金について利息をカットした形で3年程度の期間で返済をするような、新たな調書を作成していき、その調停調書に基づいて返済を行っていく方法になります。 特定調停の手続きについても消費者金融などの利息が高い債権者に対し長く返済を続けている場合には、月々の返済額を大幅に減らすことができます。
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民事再生による債務整理
民事再生も、任意整理、特定調停と同様に返済を続けていくことを前提とした借金解決の方法ですが、借金を大幅に減額(原則5分の1)することができますので、任意整理、特定調停と比較して、月々の返済の負担をかなり軽減できる方法になります。 また、住宅ローンを除いて借金を整理することが可能ですので、マイホームを維持しながら借金の整理を検討している方には1番適した方法ということになります。
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